機械・プラント製図技能検定には、実技試験と学科試験がありますが、特に実技試験について合格できなく、複数回受検しているけど、なかなか合格できない人がいらっしゃるかと思います。
私も2級、1級ともにそれぞれ3回ずつ受検し、練習・対策をとることで合格することができました。
そこで実技試験について「どうすれば、合格に近づけるか」をまとめていきますので、受検者にとって参考になれば幸いです。
読図力
合格につなげるためには、まず、「読図力」(図面を読み解く力)が必要になります。
試験では、組立図の状態の課題図から、指定された部品を抜き出さなくてはならなく、「指定された部品」と「指定されていない部品」を判断(区別)する必要があります。
「正面図で見える形状は、側面図や平面図ではどこに位置するのか、どんな形状をしているのか」「この外形線は、指定された部品のものか」「断面図に置き換えるとどうなるか」等、課題図(問題文)から考えます。
問題文には、「指定された部品」や「指定されていない部品」(その他の構成部品)について説明が記載されているので、どこに何が使用されているか、また構成部品がどのような位置・描き方をしているかわかりますので、練習の時に一度ゆっくり確認してみると良いでしょう。
課題図の理解について、実務経験で、ねじや座金、Oリング、ベアリング等に触れている人は、課題図を見ると問題文を読まなくても、すぐに読み解けることがあります。
しかし実務経験がない、もしくは上記の構成部品に関わりがない場合だと、読み解くのに時間がかかると思います。
それでも時間がかかってしまう場合としての対策としては、やはり「過去問を複数年取り組む」「本を参考にする」等を実施し、慣れることが必要だと考えます。
実技試験をもとに読図力を鍛えるなら、過去問の解読例を掲載している下記おすすめします。全体をざっくりというような感じはなく、一つずつ注目するポイントが記載されており、試験に慣れていない人も読みやすいと思います。
製図力
2つ目に必要なのは、「製図力」(図面を描く力)になります。
課題図から抜き出した図形はもちろんのことですが、寸法や寸法公差、幾何公差、表面性状、注記、表題欄への書き方等、JISのルールに則って製図していきます。隠れ線は、「寸法を記入しなければ」ぐらいで良いですし、寸法は入っていればひとまず良いでしょう。ただ、図面は「見る側にわかりやすく」することも重要ですので、極力きれいに描ければ尚、良いですね。
寸法公差や幾何公差については、課題図や問題文に記載された記号や数値を使用すればよいですが、
表面性状については、「他部品との接触面」や「ベアリングの挿入部」等でも精度(数値)が変わってくるので、設計的にどうあるべきか(どれが適正か)を示していく必要があります。
表面性状は筆者の場合、ほかの部品が接触はしないが、ある程度形状を出す必要がある場所は「Ra25」、ほかの部品と接触させる面は「Ra6.3」ベアリングや軸のはめあい部等は「Ra.1.6」ぐらいの感覚でいましたね。
文章読解力
3つ目に必要になるのは「文章読解力」になります。
「文章読解なんて必要なの!?」なんて思いますが、問題文に書かれた内容を、図面に”正しく”反映しないといけませんので、しっかりと読んで理解する必要があります。
といっても例年同じような問題文になるので、練習で一度深く読んで、本番では、「違うところはないかな?」ぐらいでも通用しそうです。
また特にみるポイントは、「JISの適用年度」「投影図の指示(配置)」「表面性状」「幾何公差」ぐらいを抑えておけばと思います。
操作能力(CAD・ドラフターともに)
最後に必要になるのは、「操作能力」になります。
ここでいう「操作能力」は、「CAD製図」の受検者は、2D-CADや3D-CAD、「手書き製図」の受検者はドラフターの操作能力のことを表しています。
正直、実務経験がある程度あり、「読図力」「製図力」が高い人にとっては「どれだけ早く表現できるか(操作できるか)」にかかっているといっても過言ではないです。「どのように描くかわかっていても、素早く描けない」とその分、時間ロスになりますからね。
また、「素早く描く」ことにも効率を考えて描くと良いでしょう。私が受検した時は2D-CADのAutoCADで受検しましたが、「ミラー」や「回転複写」なんかは結構効率良いコマンドだと思い使用していました。
3D-CADで受検した経験がありませんが、2D-CAD同様に、コマンドや便利ツールがあると思いますのでいろいろ調べてみると良いでしょう。
ドラフターもほとんど利用した経験がなく、かつ手書き製図の場合、休憩時間がないため、操作能力+体力が必要になるかもしれませんね。
【番外編】尺度の変換
番外編ということで尺度について触れるのですが、なぜ触れるのかというと、「1:2」の縮尺にて図面制作(回答)する時があるからです。
1級の場合、9割くらい(ほぼすべて?)は「1:2」で製作なので、練習段階である程度、尺度変換の感覚が身についていると思います。2級についてはたまに(1~2割くらい?)の確率で「1:2」で作図する年がありました。練習で「1:1」のみ実施していると、本番でいきなり「1:2で描きなさい」となると戸惑ってしまい、思うように実力が発揮できないかもしれません。
3級については受検した経験がありませんが、ほぼないのではないかと思います。
尺度「1:2」をどう攻略するかは、下記の対応が必要になります。
AutoCADの尺度の設定については下記の記事の写真に記載があります。
縮尺スケール(定規)の利用
世の中には縮尺スケールと呼ばれるもの(定規)があり、通常のスケールと比べ、対応した縮尺で数値が確認することができます。試験で利用するなら「1:2」の縮尺スケールを利用すればよいですが、私の場合は、普通のスケールを使用していました。
通常のスケール(定規)の利用し、CADの設定で1:2に
上記でも記載しましたが、私は、普通のスケールを利用して、抜き出す部品の採寸を行っていました。そのままだと、現尺(1:1)の寸法として表現されますが、CAD上で「1:2」とすることで、自然と縮尺された図面となり、結構便利だったと記憶しています。
さいごに
いかがでしょうか。「試験ではどんな力が必要なのか」「自分の弱点・苦手な部分はどこか」を振り返っていただき、上記を読んで少しでも受検者が合格に近づくことができれば幸いです。