今回は、「機械・プラント製図って最近聞くけど何だろう?」っていう人向けに、機械・プラント製図技能検定の概要ついて書いていきます。(筆者は過去6回(1級2級それぞれ3回ずつ)、受検しています!)
そもそも技能検定って?
そもそも技能検定って何だろうと感じている人もいると思います。
技能検定とは、
となります。(公式サイトより抜粋させていただきました。)
早い話、「この人は技能があるよ!」っていうこと。
技能検定の種類として100種類(2023年4月1日時点)あり、その中でも選択作業(手書きやCAD等)ごとに分かれているので、実際はもっとあります。(これも公式サイトを抜粋。)大半の技能検定については都道府県知事が主催することになりますが、ウェブデザイン技能検定や、FP技能検定といった一部の技能検定は、民間機関にて運用されています。
都道府県知事が主催する各試験は前期日程と後期日程のどちらかに開催されており、本記事で紹介する『機械・プラント製図』は後期(おおよそ実技試験は1月下旬、学科試験は2月初旬のどちらも日曜日)に開催されています。
『機械・プラント製図』は下記3つに作業が分かれているのですが、どれが一つを選ぶことになります。見るとわかりますが、『機械製図』と『プラント配管製図』にわかれてるので、2つを合わせた『機械・プラント製図』ってなってるわけですね!
- 『機械製図手書き作業』
- 『機械製図CAD作業』
- 『プラント配管製図作業』
筆者が受検したのは、上記2.『機械製図CAD作業』になります。また、今後機械・プラント製図の話題が出ましたら、2.『機械製図CAD作業』を前提として話しますのでご認識を。
機械・プラント製図って?
ここからが本題。機械・プラント製図とは、機械やプラントに関する製図になります。そのうえで技能検定としては、機械設計やプラント設計に携わる技術者の製図能力を認定する国家資格(技能士)にあたります。
※『技能士』は『名称独占資格』になり、取得してもいないのに名乗ることができないです。しかし、弁護士や税理士といった士業と違い、資格がないと業務ができないわけではないのでご安心ください。
『機械プラント製図技能検定』は製図能力についての認定になりますが、機械的な機構や部品知識や、設計的知識も必要になります。実技試験の場合は、課題図から指定部品を読み解く読図能力、CADを使用する場合、CAD操作能力も必要になってきます。
正直、最終的にはCADの操作能力に左右されたり。なんてことも。
機械的・設計的知識が必要ではありますが、「機械設計をバリバリにやってないとダメか?」と言われるとそういうわけでもないかなと思います。下記に受検資格を記載しますが、2級受検では『実務経験2年で受検可能』、3級にいたっては「実務経験なくても受検可』となっています。
私の周りを見ても、入社2~3年目とかで受検したり、電気系、制御系の人も『仕事で図面を見たりして機械系も携わるから』と受検している方がいたりします。(すごく意欲がありますね!
身近に受検したことがある人がいれば、どんか感じか聞いてみれば良いですし、いなければ、本ホームページの問い合わせから質問してみてください。(筆者がわかる範囲で回答いたします。
級 | 受検資格 | 学科 | 実技 |
1級 | 実務経験7年以上 2級合格後:2年 3級合格後:4年 | 問題数 :50問 試験時間:1時間40分 | 試験時間:5時間 |
2級 | 実務経験2年以上 3級合格後:0年 | 問題数 :50問 試験時間:1時間40分 | 試験時間:4時間 |
3級 | 誰でも受検可 | 問題数 :30問 試験時間:1時間 | 試験時間:3時間 |
※受検資格について、学歴や業務経歴により多少変わってきますので、詳細については、公式サイトを参照ください。やはり工学系を卒業したほうが早く受検できるようになっています。受検手数料も受検する都道府県で違いがあるようですが、
実技試験18,200円、学科試験3,100円が
が、標準的です。ちなみに筆者が受検する県では実技がもう少し高いですが、おおよそ合わせて2万円近くかかると覚えておくと良いです。
ちなみに年齢が35才未満25才未満で、2級と3級受検者については受検料が一部減額(最大9,000円)されているため、以前より受検しやすくなっています!!!(3,500円くらい安かったはずです!)
※令和4年度から減額となる対象年齢が25才未満に変更となっていますのでご注意ください。
R05_ginoukentei.pdf (javada.or.jp)
↓下記は、旧の減額概要になります。参考までに掲載いたします。
試験ってどんなことするの?
試験では『学科試験』と『実技試験』に分かれています。下記にて少し詳しく紹介します。
学科試験
まずは学科試験についてです。学科試験では、『真偽法(〇×問題)』と『多肢択一法(4択問題)』に分かれています。
1,2級は『真偽法』『多肢択一法』と両方あり、それぞれ25問ずつ(計50問)試験時間は1時間40分になります。3級は『真偽法』のみが30問になり、試験時間も1時間ちょうどと、40分短いです。
出題内容は、製図知識はもちろん、ねじや軸受、歯車といった『機械要素』や、『力学(4力)』、『工業材料』や『工作法』の知識なども問われます。機械系知識だけでなく、電気系知識やCAD・CAM・VDT作業の知識もあります。
範囲が広く大変そうに感じますが、かなり基礎的な問題ですし、過去問と同じ問題も出題されますので、しっかりと勉強しておけばそこまで苦戦はしないかと思います。(ほとんどの場合、時間が余り、早く試験会場から退出するかもしれないです。
私は、2級学科試験については下記の『技能検定 機械製図 完全マスター』を利用し各分野の全体把握をしました。各章に分かれていて章末問題には過去問同様の問題が出されているので、練習にはもってこいだと思います。
その他にも受検の主催が出版している本があります。学科試験は3年分、実技試験の課題図は1年分収録されており、「とにかく過去問を繰り返したい!」という人には向いているのかもしれないです。実技試験も1年分収録されています。本番の問題用紙を縮小したようなまとめられ方なので、一番雰囲気を感じられるかもしれません。
実技試験
実技試験では、課題図(機械装置を組み立てた状態の組立図)から指定された部品を書き出すことになります。1級の場合は、部品の書き出しのほかに計算問題も追加され、最近ですと、『ギア比の計算』『必要なボルト数の算出』について出題がありました。
1級の計算問題を解かないと、図面の一部を描くことができなくなる場合や、寸法が出せない場合があるので、必ず解く必要があります。
実務経験でやってる人は慣れているかもしれませんが、実務経験のない人は、過去問等を利用し慣れる必要があります。もしくは、下記書籍に12問ほどの過去問が記載されているので様々な問題に触れることができます。
また下記書籍は、課題図+読み解き方のような説明、製図ルール等も記載があるので、初めて実技試験を受検する人にはちょうど良い一冊になっています。
上記書籍だと少し古いですが、最新版が良いという人は下記でも良いかもしれません。たくさん問題に触れたい等あれば、両方確認してみると良いでしょう。
計算問題以外の課題図については、下記が解読例も載っているので参考になると思います。第4版が最新版で令和2年度~令和4年度分の実技過去問と解読例が掲載されています。
試験の簡単な流れとしては、個人差はあるかもしれませんが、下記のような感じになります。
- CADの操作練習時間(試験開始前30分)
- 問題文、課題図の確認→必要事項を課題図に書き込む
- 課題図を定規で採寸、計算問題(1級のみ)
- CADにて製図
詳細については、別記事にて記載しようと思います。
『どんな試験だろう?』と気になった人は、2年分の過去問は下記で閲覧できるようですので、一度ご覧になってはいかがでしょうか?
技能検定試験問題公開サイト | 中央職業能力開発協会 (javada.or.jp)
実際の試験の流れについては、下記記事に記載いたしました。併せてごらんになっていただくと、試験のイメージが沸くかもしれないです。
なんで取得したの?
取得を試みたのには、理由は大きくふたつあります。
製図能力を証明したかったから
ひとつは、『製図能力を証明したかったから』です。
仕事を何年続けても、図面を何枚書いても、なかなか定量的に技量をアピールすることがで難しいです。本試験を取得することで、知っている人からすれば”一応”『この人はある程度できそうかな?』と考えました。
※”一応”と記載したのは、知らない人からすれば『(* ̄- ̄)ふ~ん』ってなりますし、取得したからと言って、設計能力には直結しないからです。
また、後から気づいたのですが、試験で使用するCADが業務でもしようしている「AutoCAD LT」であったため、操作能力がかなり上がっていることがわかります。
「受験料補助」+「資格取得金」が出たから
もうひとつの理由として、合格すると会社から「受験料補助」+「資格取得金」が出たからです。「結局、お金かよ!」って思うかもしれませんが、そうです、お金です。笑
笑ってはいますが、モチベーションを上げるためには必要なことかもしれません。また、スキルを身に着けることで付加価値の高いアウトプットを出すことができます。またアウトプットを出す速さも速くなるでしょう。
企業によっては、手当として「毎月5000円」等出るところもあるようです。
「受験料補助」や「資格取得金」については、企業によってまちまちかと思いますが、自身のスキル向上のためにも試験受検について検討してみてはいかがでしょうか?